相続人が行方不明の場合の相続登記はどうする?手続きの流れと解決策を司法書士が解説

このエントリーをはてなブックマークに追加


「相続人の一人と連絡が取れない」「行方不明の相続人がいて相続登記が進められない」そんな状況でお困りの方は少なくありません。相続登記には原則として相続人全員の合意が必要です。しかし行方不明の相続人がいる場合でも、法律上の手続きを経ることで相続登記を進めることができます。この記事では相続人が行方不明の場合の対処法と手続きの流れをわかりやすく解説します。


相続登記を行うためには原則として相続人全員で遺産分割協議を行い、全員が遺産分割協議書に署名・捺印する必要があります。

相続人の一人でも行方不明の場合、その方の署名・捺印が得られないため遺産分割協議書が完成せず、相続登記が進められない状態になります。

しかしこのような状況を放置すると2024年4月から義務化された相続登記の期限(3年以内)を過ぎてしまう可能性があります。行方不明の相続人がいる場合は早めに専門家に相談することが重要です。


【見出し2】 まず「行方不明」の状況を確認する

【本文】 一口に「行方不明」といっても状況はさまざまです。まず現状を正確に把握することが大切です。

■ 連絡先がわからないだけの場合 住所・連絡先がわからないだけであれば、戸籍の附票を取得することで現在の住所を調べられる場合があります。戸籍の附票には住民票の移動履歴が記録されています。

■ 住所はわかるが連絡が取れない場合 手紙・内容証明郵便などで連絡を試みることができます。

■ 長期間にわたって行方がわからない場合 法律上の手続き(不在者財産管理人の選任・失踪宣告)が必要になります。


行方不明の相続人がいる場合の最も一般的な解決策が「不在者財産管理人の選任」です。

■ 不在者財産管理人とは 行方不明者(不在者)の財産を管理・保護するために家庭裁判所が選任する人のことです。弁護士・司法書士などの専門家が選任されることが多いです。

■ 手続きの流れ

①家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申し立てをする

②家庭裁判所が審判を行い管理人を選任する(1〜2ヶ月程度)

③選任された管理人が行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加する

④遺産分割協議書に管理人が署名・捺印する ⑤相続登記を申請する

■ 申し立てができる人 相続人・債権者など利害関係人が申し立てできます。

■ 注意点 不在者財産管理人は行方不明者の利益を守る立場のため、行方不明者にとって不利な内容の遺産分割には同意できません。家庭裁判所の許可が必要な場合もあります。

■ かかる費用の目安

申し立て費用:数千円程度(実費)

管理人への報酬:案件によって異なります


行方不明になってから長期間が経過している場合は「失踪宣告」という手続きを利用できる場合があります。

■ 失踪宣告とは 行方不明者を法律上「死亡したもの」とみなす手続きです。家庭裁判所に申し立てを行います。

■ 失踪宣告の種類と要件

普通失踪:行方不明になってから7年間生死が不明な場合

特別失踪:戦争・船舶沈没・震災などの危難に遭遇してから1年間生死が不明な場合

■ 手続きの流れ

①家庭裁判所に失踪宣告の申し立てをする

②家庭裁判所が公示催告(官報への掲載など)を行う

③一定期間経過後に失踪宣告の審判が確定する ④失踪宣告が確定すると行方不明者は死亡したとみなされる

⑤新たに相続人を確定して遺産分割協議・相続登記を進める

■ 注意点 失踪宣告後に行方不明者が生存していることが判明した場合、失踪宣告が取り消されることがあります。その場合の法律関係は複雑になりますので専門家にご相談ください。


2024年4月から新設された「相続人申告登記」を活用する方法もあります。

■ 相続人申告登記とは 遺産分割協議がまとまっていない段階でも「自分が相続人であること」を法務局に申告することで、登記申請義務を履行したとみなされる手続きです。

■ 活用できるケース

行方不明の相続人がいて遺産分割協議が進められない場合でも、他の相続人がそれぞれ相続人申告登記を行うこと で、義務化の期限(3年以内)を守ることができます。

■ 注意点 相続人申告登記はあくまでも暫定的な措置です。最終的には不在者財産管理人の選任などの手続きを経て、通常の相続登記を完了させる必要があります。


【本文】 状況に応じて適切な解決策を選ぶことが重要です。

状況おすすめの解決策
連絡先がわからないだけ戸籍の附票で住所を調べて連絡を試みる
行方不明だが7年未満不在者財産管理人の選任
行方不明で7年以上失踪宣告
義務化期限が迫っている相続人申告登記で期限を守りつつ並行して対応

いずれの場合も手続きには時間がかかります。早めに専門家に相談することをおすすめします。


行方不明の相続人がいる場合の手続きは通常の相続登記より時間がかかります。

■ 不在者財産管理人の選任から相続登記完了まで 申し立てから管理人選任まで:1〜2ヶ月

遺産分割協議・協議書作成:1〜3ヶ月

相続登記申請・完了:1〜2週間

合計:3〜6ヶ月程度

■ 失踪宣告から相続登記完了まで 申し立てから審判確定まで:1年以上

その後の相続手続き:2〜3ヶ月 合計:1年以上

義務化の期限(2027年3月31日)が迫っている場合は今すぐ動き始めることが重要です。


行方不明の相続人がいることを理由に相続登記を放置するリスクは大きいです。

・2027年3月31日の義務化期限を過ぎると10万円以下の過料が科される可能性がある

・時間が経つほど相続人が増え手続きがさらに複雑になる

・行方不明者が亡くなっていた場合、その方の相続人も手続きに関わる必要が生じる

・不動産の売却・担保設定ができない状態が続く

「行方不明の人がいるから仕方ない」と放置するのではなく、早めに法律上の手続きを進めることが重要です。


司法書士佐藤直樹事務所では御殿場・裾野・小山町エリアの相続登記に対応しています。

相続人が行方不明で相続登記が進められない場合も、状況に応じた解決策をご提案します。

「どうすればいいかわからない」という段階からお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。

相談無料・秘密厳守

平日 9:00〜18:00


2026年5月25日 | カテゴリー : 相続登記 | 投稿者 : wpmaster